その年話題となった新語・流行語を決定する年末恒例の『2016 ユーキャン新語・流行語大賞』が12月1日に発表され「神ってる」が年間大賞に選ばれた。
そのほか、トップ10には
「ゲス不倫」「聖地巡礼」「トランプ現象」「PPAP」「保育園落ちた日本死ね」「(僕の)アモーレ」「ポケモンGO」「マイナス金利」「盛り土」が選出された。
また、『選考委員特別賞』として「復興城主」が受賞した。
神ってる
緒方孝市さん(広島東洋カープ監督)
鈴木誠也さん(広島東洋カープ外野手)25年ぶりのリーグ優勝を果たした広島カープ。シーズン中の6月のオリックス戦で2試合連続の決勝弾を放った鈴木誠也外野手、試合後の談話でそれをたたえる緒方孝市監督が、「神懸かってる」と言うところを、いまどきの言葉を使った。
「神ってる」。
これはもともとネットの住人たちが汎用していたワードで、中高校生にとっては当たり前の表現だが、プロ野球というオヤジの世界で使われたことで異彩を放ち、2016年に輝く一語となった。受賞者は、広島東洋カープの緒方孝市監督と鈴木誠也外野手。
壇上は、鈴木誠也外野手。
広島カープの25年ぶりのリーグ優勝を果たした2016年にピッタリの言葉。
これが年間大賞に選ばれたことは同じ中国地方に住む自分としてもうれしい。
聖地巡礼
ディップ株式会社
ここ数年、映画やテレビ作品、ゲームなど、物語の舞台となった場所を訪れることが「聖地巡礼」と呼ばれている。
2016年映画界の最大ヒットとなった『君の名は。』の場合は、舞台になった場所や地域が「アニメの聖地」となり、多くの人々が訪れるその「巡礼」現象は、マスコミの話題をさらった。受賞者は、いち早く聖地巡礼マップを製作・発表しているディップ株式会社。
壇上は、代表取締役社長兼CEO、冨田英揮さん。
「聖地巡礼」より「君の名は。」の方が適切な感じがするんだけど、その辺は審査員の問題だろうか。
たぶん、審査員は「君の名は。」を見ていないんじゃないだろうか。聖地巡礼もしていないんだろうけど。
もしかしたら、シン・ゴジラも含めての「聖地巡礼」なのかな。
トランプ現象
受賞者なし
「メキシコ移民は犯罪者」「中国と日本はアメリカの雇用を盗んでる」「全イスラム教徒の入国を拒否する」。当初は泡沫候補扱いであった不動産王のドナルド・トランプだが、歯に衣を着せない率直かつ攻撃的な発言で支持者を増やし、とうとう次期アメリカ大統領の座を獲得してしまった。
メディアによる大方の予想を裏切る結果が、金融マーケットにトランプ・ショックを引き起こした。
確かに、ヒラリー・クリントンが負けたことは世界に影響を与えたことなので、これは2016年を代表する言葉の1つだと思う。
ゲス不倫
週刊文春編集部
人はそれを「ゲス不倫」と呼んだ。
しかし続々と暴かれた醜聞・騒動の主役たち、当人たちに「ゲス」の自覚があったかどうか。
自分のバンドに「ゲスの極み乙女。」と名前を付けた彼にしても、その胸の内は推しはかりきれるものではないだろう。
不倫疑惑だけでなく、甘利明衆院議員の口利き疑惑、巨人選手の野球賭博、ショーンKの学歴詐称などスクープを連発した週刊文春の報道ぶりは、数年前からネットの世界で「文春砲」と呼ばれ、怖れられていたという。受賞者は、週刊文春編集部さん。壇上は、週刊文春公式キャラの文春(フミハル)くん。
まあ、週刊誌のほうがゲスですけどね。
ゲスな記事を読んで喜ぶ人たちもゲスですけど。
マイナス金利
日本銀行
市中銀行が中央銀行に預ける預金に対する金利をマイナスにする金融政策。
市中銀行は中央銀行に預けた預金に手数料がかかる形となり、元本が減少する。
2016年2月、日銀はマイナス金利を導入した。
ところが企業の投資などへの資金需要は小さく、貸出しはあまり伸びていない。
あまり自分には関係のない言葉なんだけど、経済界に影響を与えたという意味では2016年を象徴する言葉の1つなのかな。
疑問は残るけど。「パナマ文書」の方が金持ちには影響あったんじゃないだろうか。
盛り土
受賞者は、辞退されました。
2016年11月に開場予定だった東京の豊洲新市場だが、8月31日就任まもない小池百合子新都知事は築地市場からの移転を延期すると発表した。
その理由は、環境影響評価(アセスメント)の見直しなど安全性を確認するため。
東京ガスの施設の跡地を市場として使うにあたって土壌汚染を防ぐためになされるはずだった「盛り土」が建物の地下でなされていないことが明らかになったのだ。
別に、これを流行語にする必要もない気がする。
ニュースにしろ盛りすぎではないかと思う。
保育園落ちた日本死ね
山尾志桜里さん(衆議院議員)
2016年2月15日、匿名で日記を書き込めるネットサービスに「保育園落ちた日本死ね!!!」と題された文章が書き込まれた。
「一億総活躍社会じゃねーのかよ。昨日見事に保育園落ちたわ。どうすんだよ私活躍出来ねーじゃねーか」。
育児中の母親と見られる人物が訴える内容だった。
衆院予算委員会で山尾志桜里議員がこれをとり上げ、安倍晋三首相を追及。
書き込みに賛同する有志が国会前で抗議行動を起こした。
受賞者は、山尾志桜里衆議院議員。
これが受賞するのはなんとも悲しい。審査員の感性を疑う。
同じネガティブな話題で行くならSMAP解散のほうを選ぶべきではないだろうか。
SMAPが総活躍できなくなる時代なんだから。
ポケモンGO
株式会社ナイアンティック
株式会社ポケモンアニメやゲームの人気キャラクターであるポケモンを、プレイヤーがスマホを手に現実のあちらこちらを歩き回り、リアルな空間のなかに現れるポケモンを収集できるというゲーム。
2016年7月6日からこのGPSとAR技術を応用したスマホ向けアプリが各国で順次配信開始となり、世界的な流行に。受賞者は、ポケモンGOの開発をリードした株式会社ナイアンティックさん、株式会社ポケモンさん。
Ingressユーザとしても、ポケモンユーザとしても流行語に選ばれたのはうれしい。
ただ、よいニュースもあったけど、悪いニュースもちらほら。
いい流行語として、今後も残り続けてほしい。
(僕の)アモーレ
長友佑都さん(サッカー日本代表セリエA・インテルナツィオナーレ・ミラノ所属)
サッカー日本代表の長友佑都と女優の平愛梨の熱愛が2016年6月3日発売の「フライデー」で報道される前日、
「僕から真実を伝えたい」として取材に応じた長友は
「(彼女は)僕のアモーレ。イタリア語で愛する人という意味です」
と堂々の交際宣言を放ったのだった。
この甘く懐かしい「アモーレ」というワードは、ゲス報道に明け暮れるワイドショープログラムに、一服の清涼剤、しばしの「ほっこり」を与えてくれた。受賞者は、サッカー日本代表セリエA・インテルナツィオナーレ・ミラノ所属、長友佑都さん。
壇上は彼のアモーレにして女優の、平愛梨さん。
話題という意味では少し薄いけど、殺伐な流行語が多い中で、幸せな流行語としてピッタリだった。
PPAP
ピコ太郎さん(シンガーソングライター)
「謎のシンガーソングライター」ピコ太郎による楽曲にして動画作品「ペンパイナッポーアッポーペン」(PPAP)が2016年10月29日付、米「ビルボードHOT100」に日本人として26年振りとなるチャートインを果たし、77位を獲得した。
これは古坂大魔王が扮する「ピコ太郎」が8月25日YouTube上に発表した作品で、9月にジャスティン・ビーバーが自身のTwitterで「お気に入り」とツイートしたことで火が付いた。
受賞者は、千葉県出身のシンガーソングライター、ピコ太郎さん。
後半一気にバズったのがピコ太郎。まあ、ここでこの言葉を外したら、
「あんた、なにもわかっていないよ」とユーキャンはユーキャンじゃなかった。
といわれてもおかしくないくらいだったので当然といえば当然。
復興城主
熊本市
2016年4月の熊本地震では、熊本城の石垣約50カ所が崩落。13の重要文化財建造物や20の復元建造物が被災した。
熊本市は11月1日から、復興を支援する「復興城主」を募っている。
1万円以上の寄付をした個人や団体が「城主」となり、観光施設の入場料が無料になるなどの特典を受けられるという制度である。
ユーキャン新語・流行語大賞選考委員会では特別賞として「復興城主」を選定した。
受賞者は、熊本城の復興に向けた活動を続ける熊本市。壇上は、熊本市の大西一史市長。
熊本城の被害は甚大で大ショックだった。
こういう言葉がノミネートされ、より話題になることはいいことだと思う。
この賞は、1年の間に発生したさまざまな「ことば」のなかで、軽妙に世相を衝いた表現とニュアンスをもって、広く大衆の目・口・耳をにぎわせた新語・流行語を選ぶとともに、その「ことば」に深くかかわった人物・団体を毎年顕彰するもの。
1984年に創始。毎年12月上旬に発表。『現代用語の基礎知識』読者アンケートを参考に、選考委員会によってトップテン、年間大賞語が選ばれる。
選考委員会は、姜尚中(東京大学名誉教授)、俵万智(歌人)、室井滋(女優・エッセイスト)、やくみつる(漫画家)、箭内道彦(クリエイティブ・ディレクター)、清水均(『現代用語の基礎知識』編集長)で構成される。
※授賞が「トップテン=大賞」の方式になったのは第11回から。
それ以前は、【新語部門】【流行語部門】【表現部門】等を設け、それぞれに授賞語を選定した。