無料ビジネスのススメ

2010/03/17

概要

企業はモノやサービスをユーザへ提供し、モノの販売やサービスの使用料金でユーザからお金を巻き上げている。

いかに高品質で低コストなモノやサービスを提供することができるかが重要だと考える。

モノ、サービスそのものの価値だけではなく、値引きや限定品などといった「イツモトチガウお得感」がユーザの判断基準に大きな影響を与えるのも事実である。

さらに言えば、ユーザがサービスを選択する上での大きなファクターがある。「無料」である。

しかし、無料でビジネスは成り立つのか。お金の点は問題ない。

金の出所をユーザに求めるのではなく、他企業に金の出所を求めればいいのだ。

発端

「0という数字には魔法がある」「0という概念を発見したインド人は素晴らしい」
0という存在するけど、存在しないものという概念は実はものすごく奥が深いのである。

まあ、ぶっちゃけ言って、この記事も会社の上司より今後のビジネスについて、アドバイスをもらったので書いてみたわけで、0から生まれたものではないのである。

価格競争とお得感

100円のチョコレート    30円のうんこ味のチョコレート

高価格の100円のチョコレートと低価格の30円のチョコレートがある。
特売セールとして高価格の100円のチョコレートを50円引き、低価格の30円のチョコレートを5円引きで販売した。
その場合、多くのユーザの行動は、高価格のチョコレートを購入したと言う。
この決め手になったのが、「お得感」であった。

実際に購入しようとした時には50円と25円のチョコレートである。
50円のチョコレートを1つ買うのと、25円のチョコレートを2つ買うのは同額の50円である。
50円お得なチョコレート    5円お得なうんこ味のチョコレート

元の値段の差額を考えたユーザは、元の値段から50円お得になった高価格側のチョコレートを購入したのである。

デフレが続けば、企業としてはより低価格でユーザへ提供する必要がある。
元々低い価格で販売していたならば、高級品が値下げで勝負をかけてきたならば、「お得感」での勝負ではなすすべがない。
100円が40円引き、60円引、80円引、と値下げすることができても、元々30円であるならば、30円引以上はできないのである。

同額の値引きを行っていくのであれば、先に低価格側に限界が発生していく。

製造コストが10%だった場合、100円のチョコレートでは10円。うんこ味の30円のチョコレートは3円が必要である。

100円のチョコでは90円の値引きが可能であるのに対し、30円のチョコでは27円の値引きまでしか行うことができないのだ。

 値引き額   高価格低価格
 原価    100円   30円  
 10円引き    90円   20円  
 20円引き    80円   10円  
 25円引き    75円    5円  
 26円引き    74円    4円  
 27円引き    73円    3円  

この時点で高価格側は63円の利益に対し、低価格側の利益は0円なのである。

無料という魔法

一見、低価格側が不利な状態が続くが、値引きが30円となった時点で事態は変わる。

 値引き額   高価格低価格
 原価    100円   30円  
 28円引き    72円    2円  
 29円引き    71円    1円  
 30円引き    70円    0円  
70円のチョコレート    0円のチョコレート

低価格側が0円での販売に切り替えることで、ユーザは一気に低価格側へシフトするのである。

うんこ味はさすがに厳しいかもしれないが、無料というのは、うんこくらいは跳ね返すインパクトがあるのだ。

 値引き額   高価格低価格
 原価    100円   30円  
 30円引き    70円    0円  
 40円引き    60円    0円  
 50円引き    50円    0円  
 60円引き    40円    0円  
 70円引き    30円    0円  
 80円引き    20円    0円  
 90円引き    10円    0円  

奪われた顧客をとり返そうと高価格側は値引き額を増やしていく。

その後も高価格側は値引きが行われるが、低価格側の価格は0円のまま変わることはない。

 値引き額   高価格低価格
 原価    100円   30円  
 100円引き    0円    0円  
0円のチョコレート    0円のチョコレート

100円引き……ここに来て、高価格側は低価格側と同様の「無料」という土俵にあがることになる。

同じ「無料」であるならば、品質の高い高価格側がユーザを手に入れることができるだろう。

しかし、高価格側はユーザを増やすことでさらに損が増えてしまうのである。

製造コストが10%だった場合、100円のチョコレートでは10円。うんこ味の30円のチョコレートは3円が必要である。

100円のチョコレートを100円で売れば90円の利益。うんこ味の30円のチョコレートは27円の利益となる。

しかし、どちらも無料で販売した場合、100円のチョコレートでは10円の損、うんこ味の30円のチョコレートは3円の損となる。

1枚ごとに7円の損。売れれば売れるほど、高価格側の損は増えていくのである。

無料という世界では、元々低価格であった方が勝つことができるのである。

無から有を生む 1 

無料という世界では、有から無へ変わることで、損が発生することはあっても単純に利益を得ることはできない。

利益に変えるには有から無へと変わったものを、再度、無から有へ変える必要がある。

(この辺は、突き詰めると生命観の話になっていくけど、主旨が違うので割愛。)

有から無への変化。それこそが有なのである。

無から有を生む 2 

無から有を生み出すもう1つの方法は、錬金術のようなものかもしれない。

無から得たものを別の世界へのインプットとして渡すことで、有のアウトプットを得る方法である。

(この世とか、あの世とか、そういう意味ではなくて……主旨が違うので割愛。)

ぶっちゃけて言うと

ユーザには無料で提供。無料で提供して得た情報を別の企業へ売り込むってこと。

これで、チョコレート1枚当たりで5円の利益が出れば、低価格のチョコレートでも利益が生まれるってこと。

2010/03/17
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